
交通誘導警備員の設計労務単価とは|見積での読み方と注意点
交通誘導警備員の設計労務単価とは|見積での読み方と注意点
交通誘導警備員の設計労務単価は公共工事の予定価格を積算するための基礎であり、警備会社の請求単価や隊員へ支払う賃金そのものではありません。
公式資料の金額だけを見積書へ転記すると、時間外・休日・深夜の割増賃金や、警備会社が負担する諸経費を取りこぼすおそれがあります。また、適用年度、都道府県、交通誘導警備員A・Bの区分を取り違えると、発注者が用いた積算条件とも一致しません。
この記事では、公的積算値、自社原価、見積単価、契約単価、請求の違いを整理し、国土交通省の資料を確認する順序と、警備会社が見積へ反映するときの考え方を解説します。
交通誘導警備員の設計労務単価とは

公共工事の積算に用いる基礎単価
公共工事設計労務単価は、国や自治体などが公共工事の工事費を積算するために用いる基礎です。「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価(国土交通省)」による全国の加重平均値は、全職種が25,834円、交通誘導警備員Aが18,911円、交通誘導警備員Bが16,749円です。実際の積算では、工事の場所に対応する都道府県別・職種別の単価を確認します。
同資料の単価は所定労働時間内8時間当たりです。時間外・休日・深夜労働の割増賃金と、通常の作業条件または作業内容を超える労働への手当などは含まれません。さらに、現場管理費と一般管理費等の諸経費も含まれず、国土交通省は交通誘導警備員について、警備会社に必要な諸経費は含まれていないと明記しています。法定福利費の事業主負担分や研修訓練等の費用は、積算上、現場管理費等に含まれます。
賃金・原価・見積・請求との違い
設計労務単価は、公共工事の積算で扱う労働者の賃金に関わる値です。一方、自社原価には隊員へ支払う賃金だけでなく、会社が負担する法定福利費、教育、資格、装備、交通、労務管理、安全管理などが関係します。見積単価は現場条件と自社原価を基に提示する金額であり、契約単価は依頼者との合意で確定し、請求額は契約条件と実績から算出します。
| 段階 | 金額の役割 | 確認する資料・データ |
|---|---|---|
| 公的積算値 | 公共工事の予定価格を積算する基礎 | 国土交通省の当該年度資料、発注資料 |
| 自社原価 | 警備会社が業務を履行する費用 | 賃金、法定福利費、教育、装備、交通、管理費 |
| 見積単価 | 発注者へ提示する条件付きの金額 | 現場、日時、人数、資格、特記事項 |
| 契約単価 | 双方が合意した取引条件 | 契約前・契約後書面、契約台帳 |
| 請求 | 契約条件と実績に基づく請求額 | 配置実績、勤務実績、追加・中止条件 |
この五段階マップは、国土交通省の単価の位置付けと、警備会社内で見積から請求まで引き継ぐ情報を対応させたものです。各段階の名称と根拠を明記し、一つの数字を別の段階へそのまま流用しないことが重要です。
最新の公式資料を確認する手順

適用年度と対象都道府県を確認する
最初に、公告、設計書、入札説明書などで、発注者がどの適用日の単価を使っているかを確認します。公表年だけで判断せず、「何年何月から適用」という表記を照合し、国土交通省が公表した同じ適用年度の資料を開きます。令和8年3月から適用する案件であれば、国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」を使います。
次に、工事を行う都道府県と職種を特定します。全国平均値は全体傾向を確認する値であり、個別案件の積算値を置き換えるものではありません。都道府県別の金額は国土交通省の公表資料で確認し、転記時は適用年度、都道府県、職種、単位を一組で記録します。発注資料と公表資料で適用条件が読み取れない場合は、推測せず発注機関へ確認します。
交通誘導警備員の区分と注記を公式PDFで読む
国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」の職種区分では、交通誘導警備員Aは、交通誘導警備業務に係る一級検定合格警備員または二級検定合格警備員です。交通誘導警備員Bは、交通誘導警備員A以外で交通の誘導に従事する警備員です。年齢、経験年数、社内の役職だけでA・Bを分けません。
職種名だけでなく、単価表に付く注記も読みます。所定労働時間内8時間当たりであること、時間外・休日・深夜の割増賃金を含まないこと、警備会社に必要な現場管理費・一般管理費等の諸経費を含まないことを、見積担当者の確認表へ転記します。発注者の配置条件は交通誘導警備の配置管理と合わせ、検定区分と現場の要件を人が照合してください。
警備会社の見積へ反映するときの考え方

現場条件・資格・時間帯・諸経費を別に積み上げる
見積を作るときは、まず現場の場所、実施日、時間帯、必要人数、交代条件、交通誘導警備員A・Bの区分、必要な装備、報告方法を確定します。夜間、休日、時間外の予定があれば、通常時間とは分けます。設計労務単価に割増賃金が含まれないため、条件をまとめたままでは不足額を確認できません。
次に、会社が負担する法定福利費、研修訓練、安全管理、労務管理、装備、移動などの費用を、自社の根拠資料に基づいて積み上げます。国土交通省の注記は、これらの諸経費が設計労務単価に含まれないことを示しています。現場管理費等として公共工事の予定価格へ計上されることと、警備会社が自社の見積内訳を決めることは分けて考えます。
設計値をそのまま請求単価や賃金に置き換えない
設計労務単価から自社の見積単価へ進むときは、単価の差だけでなく、前提条件の差を確認します。公的積算は公共工事の予定価格を作る側の基礎であり、警備会社の見積は実際に業務を履行する条件を示すものです。契約後は合意した金額、期間、追加、中止、支払条件に従い、配置や勤務の実績を請求へ反映します。
確認記録には、公的積算値の適用年度、自社原価の算定日、見積の前提、契約で変更した項目、請求対象の実績を残します。契約書面の交付時点や記載事項は警備業法19条の契約前・契約後書面、月ごとの確定作業は警備の請求集計を効率化する方法で整理できます。
契約・配置・請求の前提を一元化する

警備HUBで現場条件から月次請求までをつなぐ
警備HUBでは、契約先、現場、契約台帳、隊員マスタ、資格・検定の保有状況と有効期限、配置割当を一元管理できます。契約後の現場条件と隊員情報を配置へつなぎ、勤務実績を基に月次請求を集計し、会計CSVへ出力できます。見積時に確定した前提を契約台帳と現場へ引き継ぐと、配置担当と請求担当が同じ条件を確認しやすくなります。
ただし、警備HUBが設計労務単価から見積単価を算定することや、利益を保証することはありません。公的積算値、自社原価、見積、契約、実績の判断は担当者が行い、システムは確定した契約・現場・配置・請求データを管理します。
契約・現場・配置・請求を一つの流れで管理する警備HUBの機能は、資料で確認できます。
よくある質問

設計労務単価は警備員の日給ですか
いいえ。公共工事設計労務単価は、公共工事の工事費を積算するための基礎であり、警備会社が警備員へ支払う日給そのものではありません。国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」では、所定労働時間内8時間当たりの単価として示されています。
同資料は、時間外・休日・深夜の割増賃金や、警備会社に必要な諸経費を含まないことも明記しています。雇用契約、給与規程、勤務実績などに基づく支払賃金と、公的積算値を同じ金額として扱わないでください。
設計労務単価をそのまま見積単価にできますか
そのまま置き換えることは適切ではありません。設計労務単価には、警備会社が負担する現場管理費や一般管理費等の諸経費が含まれず、時間外・休日・深夜の割増賃金も含まれません。
見積では、現場、日時、人数、A・Bの区分、交代、装備、移動、報告、追加や中止の条件を確認し、自社の費用を別に積み上げます。経営全体で費用と受注条件を見直す観点は警備会社の経営課題7つと改善策でも確認できます。
どの年度の単価を使いますか
発注資料が指定する適用日を確認し、その日付に対応する国土交通省の公共工事設計労務単価を使います。公告日や見積提出日だけから年度を決めず、設計書、入札説明書、質疑回答などに示された積算条件を照合してください。
単価は適用年度ごとに公表されるため、過去の一覧や全国平均値を個別案件へ流用しません。都道府県別の単価は国土交通省の当該年度公表資料で確認し、判断できない場合は発注機関へ確認します。
まとめ
交通誘導警備員の設計労務単価は、公共工事の予定価格を積算する基礎です。令和8年3月適用の全国加重平均値を確認するときも、8時間当たり、割増賃金を含まない、警備会社の諸経費を含まないという注記を切り離してはいけません。
見積では、適用年度、都道府県、A・B区分を確認し、現場条件と自社費用を別に積み上げます。公的積算値、自社原価、見積、契約、請求を区別し、各段階の条件を引き継ぐことが金額の取り違え防止につながります。
関連記事: 警備会社の経営課題7つと改善策 / 警備の請求集計を効率化する方法 / 交通誘導警備の配置管理 / 警備業法19条の契約前・契約後書面
見積前提を契約後の管理へつなぐ
警備HUBは、契約先・現場・隊員・資格・配置・月次請求の情報を一元管理し、担当間の条件共有を支えます。
監修:依田 尚人(警備HUB 開発責任者)。警備実務の専門家への取材・助言を経て警備HUBを開発し、その業務知見をもとに本記事を確認しています。
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