
警備の見積書の書き方|内訳・積算手順・提出前チェック
警備の見積書の書き方|内訳・積算手順・提出前チェック
警備の見積書は、現場・日時・人数・必要資格・装備・報告条件を先に確定し、直接費と間接費、特記事項を分けて積み上げます。
一人当たりの金額だけを記載すると、夜間や延長、中止、必要資格、移動、装備、報告方法などの前提が発注者へ伝わりません。受注後に見積時の条件を確認できなければ、契約、配置、報告、請求の各担当で解釈が変わるおそれもあります。
この記事では、条件確認、費目の積み上げ、特記事項、提出前確認、受注後の引継ぎという順序で、警備会社が使える見積書の作り方を整理します。
警備見積書の役割と必要な前提

見積書・契約前書面・契約書の違い
見積書は、警備会社が業務内容と金額、適用条件を発注者へ提示し、契約交渉の基礎にする書類です。契約成立前の提案なので、発注者が承諾して契約条件として確定した項目と、見積段階の前提を区別します。見積番号、作成日、有効期限、対象現場を管理すると、どの提案を基に合意したか追いやすくなります。
警備業法第19条第1項は、契約締結までに契約概要を記載した書面を依頼者へ交付することを定め、警備業法施行規則第33条が警備日・時間帯、人数・担当業務、服装、資機材、報告、対価などの事項を定めています。見積書という名称だけで契約前書面を交付したことにはなりません。法定事項と交付時点は警備業法19条の契約前・契約後書面で照合してください。
現場・日時・人数・資格・装備の確認表
見積金額を計算する前に、現場の条件を一枚の確認表にまとめます。最低限、契約先、現場名と所在地、業務区分、実施日、開始・終了時刻、必要人数、交代方法、必要資格、服装、装備、交通手段、報告方法を確認します。条件が未確定なら、見積書の前提欄に未確定の範囲と確認期限を明記し、架空の条件で金額を埋めません。
| 確認区分 | 確認する内容 | 見積への反映先 |
|---|---|---|
| 現場 | 名称、所在地、業務区分、作業環境 | 件名、業務内容 |
| 日時 | 実施日、時間帯、休憩、延長の可能性 | 数量、特記事項 |
| 人数 | 必要人数、交代、責任者 | 人件費内訳 |
| 資格 | 種別、等級、必要人数 | 配置条件、資格関連費 |
| 装備 | 制服、誘導灯、無線機、車両など | 装備・交通費 |
| 報告 | 方法、頻度、提出時期 | 業務内容、特記事項 |
発注者の仕様書と現地確認の結果が異なる場合は、どちらを見積の前提にしたかを記録し、提出前に質疑で確定します。
警備見積の内訳を積み上げる手順

直接人件費と法定福利費を分ける
直接人件費は、業務に従事する隊員の賃金を、人数、時間帯、勤務時間、交代条件に沿って見積もる費目です。通常時間、時間外、休日、深夜を分け、会社の賃金規程と勤務条件に基づいて積み上げます。法定福利費の事業主負担分は、隊員本人へ支払う賃金とは異なる会社負担なので、直接人件費に含めるのか、別の費目で示すのかを社内で統一します。
全国警備業協会「警備料金の基礎知識」は、警備料金を人件費だけで捉えず、業務の実施に必要な費用を確認する材料になります。発注者へ内訳を示す粒度は案件に合わせても、社内原価では直接人件費と会社負担を混ぜず、算定根拠を残します。公共工事の設計労務単価を使う場合も、支払賃金や見積単価と同一視しません。
教育・資格・装備・交通・管理費を整理する
次に、案件の履行に必要な教育、資格、服装・装備、交通、現場管理、一般管理の費用を確認します。例えば、新しい現場に入るための周知、資格者の配置確認、誘導灯やIP無線機の準備、車両・公共交通による移動、管制担当者の配置調整、報告の確認など、条件に応じて発生する作業を洗い出します。
これらを一律の割合で追加するのではなく、自社の費用と案件条件を根拠にします。発注者が装備や駐車場所を用意する場合と、警備会社がすべて手配する場合では前提が異なります。費目名、対象、数量、単位、含まれる作業を明記し、同じ費用を二重計上したり、必要な管理費を落としたりしないよう確認します。
提出前に条件漏れを防ぐ

時間帯・中止・追加・報告方法を特記事項にする
特記事項には、金額が変わる条件と、業務の範囲を明記します。開始・終了時刻、最低利用時間、延長、夜間・休日、荒天や工事中止、当日キャンセル、人数追加、資機材の追加、遠方移動などについて、適用条件と確認方法を記載します。具体的な扱いは自社の契約方針と発注条件に合わせ、説明していない条件を受注後に追加しません。
報告方法も見積の前提です。警備報告書の提出方法、提出時期、現場ごとの集計単位、発注者指定様式の有無を確認します。見積書、仕様書、契約前書面で表現が異なるときは、提出前に用語と範囲を合わせます。税の表示、支払条件、見積有効期限、担当窓口も最終確認項目に含めてください。
見積条件を契約後の台帳へ引き継ぐ
受注が決まったら、見積書の条件を確定版の契約台帳と現場台帳へ引き継ぎます。契約先、現場、期間、曜日・時間帯、人数、資格、装備、報告、単価、追加・中止条件を項目単位で対応させ、交渉で変更した内容は見積段階の値を上書きせず、変更理由と確定日を残します。
| 見積条件 | 契約台帳 | 現場・配置 | 月次請求 |
|---|---|---|---|
| 契約先、対象業務 | 契約相手、契約種別 | 対象現場 | 請求先 |
| 日時、期間 | 契約期間 | 配置日、時間帯 | 対象月、実績日 |
| 人数、資格 | 履行条件 | 隊員、保有資格 | 配置実績 |
| 単価、追加条件 | 契約単価、変更条件 | 延長・中止の記録 | 請求明細 |
| 報告方法 | 契約上の報告条件 | 報告書作成 | 確認済み実績 |
この項目引継ぎ表は、見積時に集めた条件を受注後の契約、現場、配置、請求へ対応付けたものです。担当者ごとに同じ内容を入力し直すのではなく、確定条件の管理元を決めて更新履歴を共有します。警備の契約書・契約種別管理と警備の請求集計を効率化する方法も合わせて確認してください。
契約後の配置・報告・請求を警備HUBでつなぐ

契約先から月次請求まで二重入力を減らす
警備HUBでは、契約先、現場、契約台帳、隊員マスタ、資格・検定の保有状況と有効期限、配置割当、巡回報告、警備報告書PDF、月次請求集計を一元管理できます。受注後に確定した契約条件と現場情報を登録し、配置、報告、請求へつなぐことで、担当者が同じ情報を別々に入力する場面を減らせます。警備会社のインボイス対応と合わせると、請求時の確認項目も整理できます。
警備HUBに見積書の発行機能はありません。見積の聞き取り、費目の算定、見積書の作成と提出は会社が行い、警備HUBは受注後の契約・現場・配置・報告・請求管理を担います。
受注後の契約先・現場・配置・報告・請求の流れは、警備HUBの資料で確認できます。
よくある質問

警備見積書に法定の様式はありますか
警備業法・同法施行規則に、見積書の全国一律の様式を定めた規定はありません。全国警備業協会の参考様式等を用途に合わせて使います。
ただし、様式が任意でも、現場、日時、人数、資格、装備、報告、金額、特記事項など、見積の前提を明確にする必要があります。また、見積書を警備業法第19条の契約前書面と当然に同一視せず、法定記載事項と交付時点を別に照合してください。
設計労務単価をそのまま使えますか
設計労務単価を警備会社の見積単価へそのまま置き換えることは適切ではありません。公共工事設計労務単価は予定価格を積算する基礎で、所定労働時間内8時間当たりの値です。時間外・休日・深夜の割増賃金や、警備会社に必要な諸経費は含まれません。
適用年度、都道府県、交通誘導警備員A・Bの区分を確認したうえで、現場条件と自社費用を別に積み上げます。詳しい読み方は交通誘導警備員の設計労務単価の読み方で確認できます。
警備HUBで見積書を発行できますか
できません。警備HUBに見積書の発行機能はなく、見積条件の聞き取り、費目の算定、見積書の作成・提出には別の手順が必要です。
警備HUBの対象は、受注後の契約先、現場、契約台帳、隊員、資格、配置、報告、月次請求などの管理です。確定した見積条件を契約・現場へ引き継ぎ、配置と請求の担当者が同じ情報を確認できる状態を整えます。
まとめ
警備見積書は、現場、日時、人数、必要資格、装備、報告条件を確定してから、直接人件費、法定福利費、教育・資格、装備、交通、管理費を分けて積み上げます。時間帯、中止、追加、報告方法は特記事項にし、金額が変わる条件を提出前に共有してください。
受注後は、見積条件を契約台帳、現場、配置、報告、月次請求へ項目単位で引き継ぎます。警備HUBはこの受注後の情報管理を支えますが、見積書を発行する機能ではありません。
関連記事: 警備の契約書・契約種別管理 / 警備の請求集計を効率化する方法 / 警備会社のインボイス対応 / 警備業法19条の契約前・契約後書面 / 交通誘導警備員の設計労務単価の読み方
受注後の情報を一つの流れへ
警備HUBは、確定した契約条件を現場・配置・報告・月次請求へつなぎ、担当間の情報共有を支えます。
監修:依田 尚人(警備HUB 開発責任者)。警備実務の専門家への取材・助言を経て警備HUBを開発し、その業務知見をもとに本記事を確認しています。
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