警備業の2024年問題とは|時間外労働の上限規制と建設・物流波及の影響【2026年版】
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警備業の2024年問題とは|時間外労働の上限規制と建設・物流波及の影響【2026年版】

2026年7月10日24分で読める

「警備業の2024年問題」という言葉を目にして、自社が何に備えるべきか判然としないまま不安だけが残っていないでしょうか。結論から言えば、2024年4月の時間外労働の上限規制で猶予期間が終わったのは建設業や自動車運転の業務などであり、警備業はそれ以前から一般の上限規制が適用されてきた業種です。つまり警備会社にとっての2024年問題は「自社が新たに規制対象になる」話ではなく、建設・物流の規制強化が交通誘導や施設警備の需要へ波及する形で表れます。本記事では、猶予業種と警備業の違いを整理表で切り分け、需要への波及と現場・管制で起きる影響、そして配置と稼働記録の面から取り得る対応の方向性までを、厚生労働省の一次情報にもとづいて中立に整理します。削減効果は数値で約束せず、因果の構造を正確にお伝えします。

警備業の2024年問題とは【結論】

時間外労働の上限規制が建設業や自動車運転の業務など猶予業種に2024年4月から適用され、警備需要へ波及する全体像を示した図解
時間外労働の上限規制が建設業や自動車運転の業務など猶予業種に2024年4月から適用され、警備需要へ波及する全体像を示した図解

定義:時間外労働の上限規制と建設・物流の需要波及

警備業の2024年問題とは、働き方改革関連法(改正労働基準法)による時間外労働の上限規制が、5年間の適用猶予を受けていた建設業・自動車運転の業務・医師などに2024年4月から適用され、その影響が警備需要へ波及することを指します。ここで押さえるべき前提は、警備業がこの猶予対象には含まれていないという点です(出典:厚生労働省 働き方改革特設サイト『時間外労働の上限規制』)。

警備業はすでに一般の上限規制が適用されている業種のため、「2024年から新たに規制がかかる」という理解は正確ではありません。警備会社にとっての2024年問題は、取引先である建設・物流の規制強化が、交通誘導警備や施設警備の需要の量とタイミングを揺らす形で現れます。自社の労務と、需要の波及という二つの側面から捉えることが出発点になります。

早見表:警備業への3つの影響

警備業に及ぶ影響は、大きく次の3つの経路で整理できます。いずれも需要の増減を数値で断定できるものではなく、構造としての傾向です。

影響の経路主な内容警備業への現れ方
需要の波及(建設)建設業の時間外規制で工期が長期化・平準化し工事量が変動交通誘導警備(2号)の需要が量・時期の両面で振れやすい
需要の波及(物流)ドライバー不足を背景に物流網の再編・拠点の大型化が進む物流施設・倉庫・データセンター新設で施設警備(1号)需要を下支え
自社の労務警備業はすでに上限規制の対象36協定の範囲内での配置・稼働の管理が一段と重要に

業界全体の市場規模や4区分の構造など前提となる全体像は、警備業界の市場規模と現状を業者数・警備員数で読む解説で整理しています。本記事はそのうち労働時間規制と需要波及の側面に絞って掘り下げます。

時間外労働の上限規制と警備業

上限規制の基本

時間外労働の上限規制は、原則として月45時間・年360時間を上限とし、臨時的な特別の事情があって特別条項付き36協定を結ぶ場合でも、年720時間以内、休日労働を含めて単月100時間未満、複数月(2〜6か月)平均80時間以内、月45時間を超えられるのは年6回まで、という枠がかかります(出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』)。この一般の上限規制は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から適用されています。

警備業はこの一般則の対象です。したがって警備員の時間外労働も、原則の月45時間・年360時間と特別条項の枠に収める運用が求められます。上限値や特別条項の要件は改正や運用通達で更新されるため、実際の管理では最新の数値を厚生労働省の資料で確認してください。

猶予対象だった業種と警備業の違い

「2024年問題」の中心にあるのは、5年間の適用猶予が終わった業種です。警備業との違いを整理すると次のようになります。適用の細目や特例は最新の公表資料で確認する前提でご覧ください(出典:厚生労働省『建設業・自動車運転の業務・医師等に対する時間外労働の上限規制』)。

猶予対象だった建設業・自動車運転の業務・医師と、猶予対象ではない警備業の適用タイミングを対比した整理表の図解
猶予対象だった建設業・自動車運転の業務・医師と、猶予対象ではない警備業の適用タイミングを対比した整理表の図解
業種上限規制の適用2024年4月時点の扱い
建設業2024年4月から一般則を適用災害の復旧・復興の事業に一部特例あり
自動車運転の業務2024年4月から特例上限を適用特別条項付きで年960時間(休日労働を除く)の特例
医師2024年4月から特例水準を適用水準に応じた年間上限が別途設定
警備業猶予対象外(一般則)大企業2019年4月・中小企業2020年4月から適用済み

このように、警備業は「新たに規制対象になった業種」ではありません。だからこそ警備会社の2024年問題は、自社の規制対応そのものよりも、取引先の規制強化が需要に及ぼす波及として理解する必要があります。

建設・物流の2024年問題が警備需要に及ぼす波及

建設業と物流業の2024年問題が交通誘導警備と施設警備の需要へ波及する因果を分解した図解
建設業と物流業の2024年問題が交通誘導警備と施設警備の需要へ波及する因果を分解した図解

工事量の変動と交通誘導警備への影響

建設業に一般の上限規制が適用されたことで、限られた労働時間の中で工事を進めるために、工期の長期化や稼働の平準化が進むと考えられます。これは交通誘導警備(2号)にとって、需要が消えるというより、発注の量とタイミングが従来より振れやすくなるという時限的な波及として整理できます。

そのため警備会社は、繁忙と閑散の波を前提に、限られた隊員をどの現場へ、いつ配置するかを機動的に調整する力が問われます。増減の程度を数値で断定することはできませんが、「まとまった発注が減り、小口・分散の調整が増える」方向に働きやすい構造だと押さえておくと備えやすくなります。

物流施設・データセンター増と施設警備への影響

物流の2024年問題ではドライバーの時間外労働に上限が入り、輸送能力の制約が意識されるようになりました。これを背景に、拠点の集約や大型物流施設・自動化倉庫の新設、電子商取引の拡大に伴うデータセンター建設などが進むと見られます。こうした新設拠点は、出入管理・巡回・防災センター業務といった施設警備(1号)の受け皿になります。

つまり物流側の制約は、警備業にとって施設警備の需要を下支えする方向に波及しやすい構造です。ここでも件数や金額を約束することはできませんが、需要が生まれる場所が「新設される大型拠点」へ移っていく傾向として捉えると、営業や配置の重点を置く先が見えてきます。

現場・管制への具体的な影響

人手不足のなかで長時間拘束や連続勤務が生じやすく、配置調整が難しくなる管制現場の課題を示した図解
人手不足のなかで長時間拘束や連続勤務が生じやすく、配置調整が難しくなる管制現場の課題を示した図解

長時間拘束・連続勤務の是正圧力

警備業はもともと人手不足と高齢化が重い業界で、1人あたりの拘束時間が伸びやすい構造にあります。すでに上限規制の対象である以上、36協定の範囲を超える連続勤務や過度な長時間拘束は許容されません。取引先が労務管理を厳格化する流れも重なり、警備会社にも稼働の実態を正しく把握し、是正する圧力がかかります。

ここで難しいのは、拘束時間が現場ごと・日ごとに分散して発生することです。誰がいつ何時間拘束されたのかが手元の紙やばらばらの表に埋もれていると、上限に近づいていることに気づくのが遅れます。まず実態を見える形にすることが、是正の前提になります。

人手不足下での配置調整の難しさ

少人数で複数の現場やスポット案件を回すほど、同じ隊員を重複して割り当ててしまうダブルブッキングや、直前の欠員・変更が起きやすくなります。配置表が手作業で、連絡が電話や個別のやり取りに頼っている状態では、変更のたびに調整の往復が増え、管制担当者の負担が膨らみます。

上限規制と人手不足が同時に効くと、「時間を守りながら現場を埋める」という相反しやすい条件を毎日さばくことになります。だからこそ、配置と稼働記録を同じ土台で扱い、重複や偏りに早く気づける仕組みが現実的な打ち手として意味を持ちます。

警備会社の対応の方向性

上下番(点呼)記録・GPS位置記録・勤怠/給与実績CSVによる稼働・拘束時間の把握

スマホの上下番点呼報告とGPS位置記録、勤怠給与実績のCSV入出力で稼働と拘束時間を台帳化する流れを示した図解
スマホの上下番点呼報告とGPS位置記録、勤怠給与実績のCSV入出力で稼働と拘束時間を台帳化する流れを示した図解

対応の第一歩は、稼働と拘束時間の実態を記録として残すことです。警備HUBでは、上下番(点呼)報告や巡回報告をスマホで記録でき、GPSは到着の位置記録(到着証跡)まで残せます。勤怠・給与実績はCSVで入出力でき、既存の給与計算ソフトへ連携できます。これにより、誰がいつどの現場で稼働したかを台帳として一元的に確認できます。

ただし警備HUBは、労働時間の上限そのものを自動で管理したり、36協定や法令への適合を自動で判定・警告する機能ではありません。記録・可視化した稼働実績をもとに、労務担当者が確認し判断するための材料をそろえるものです。GPSも位置記録の用途であり、移動距離を自動で判定したり不正を検知するものではない点にご留意ください。

配置効率化で少人数を活かす

もう一つの方向性は、配置そのものを効率化して少人数を活かすことです。警備HUBでは、隊員の配置割当をカレンダーやガントで一元管理し、同じ隊員を重複して割り当てた場合は保存時にダブルブッキングを自動検知して警告します。配置変更はメールで通知でき、資格・検定は保有状況と有効期限を見える化して、配置前に担当者が確認できます。

これらは削減時間や対応可能な現場数を約束するものではなく、重複や欠員に早く気づき、調整の往復を減らすための構造的な仕組みです。なお警備HUBにチャットやメッセージング機能はありません。必要な連絡自体を減らす設計にすることで、少人数の管制でも回しやすくすることを狙っています。

よくある質問(FAQ)

警備業は2024年問題の猶予対象でしたか?

いいえ、警備業は5年間の適用猶予の対象ではありませんでした。猶予対象は建設業・自動車運転の業務・医師などで、警備業には一般の上限規制が大企業2019年4月・中小企業2020年4月から適用されています(出典:厚生労働省 働き方改革特設サイト『時間外労働の上限規制』)。そのため警備会社の2024年問題は、自社が新たに規制対象になる話ではなく、取引先の規制強化が需要へ波及する形で表れます。

時間外労働の上限は警備員にも適用されますか?

はい、警備員も一般の上限規制の対象です。原則は月45時間・年360時間で、特別条項付き36協定を結ぶ場合でも年720時間以内などの枠がかかります(出典:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』)。上限値や特別条項の要件は改正・通達で更新されるため、実務では最新の数値を厚生労働省の資料で確認してください。

2024年問題で警備の仕事は増えますか、減りますか?

増減を数値で断定することはできません。傾向としては、物流施設やデータセンターの新設が施設警備の需要を下支えする一方、建設の工期変動によって交通誘導警備の需要は量とタイミングが振れやすくなる可能性があります。いずれも構造としての方向性であり、実際の受注は地域や取引先の状況によって変わります。

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まとめ

警備業の2024年問題は、警備業自体が新たに規制対象になる話ではなく、猶予期間の終わった建設・物流の規制強化が需要へ波及し、同時に自社の労務管理の重要性が高まるという二面の課題です。まず稼働・拘束時間の実態を記録として見える化し、配置を効率化して少人数を活かすことが、現実的な備えになります。数値の削減効果を追うのではなく、因果の構造を押さえたうえで、日々の配置と記録の土台を整えることが第一歩です。


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監修:依田 尚人(警備HUB 開発責任者)。警備実務の専門家への取材・助言を経て警備HUBを開発し、その業務知見をもとに本記事を確認しています。

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