警備員の人手不足はなぜ深刻化するのか|高齢化の実態と中小警備会社の現実的な対策
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警備員の人手不足はなぜ深刻化するのか|高齢化の実態と中小警備会社の現実的な対策

2026年7月28日20分で読める

警備員の人手不足が深刻化する根本原因は、「採れる若手が減っている母数の問題」と「いま在籍している警備員の稼働が配置のムダで取りこぼされている問題」が同時に起きているからです。多くの会社は前者ばかりに目を向け、採用広告にコストを投じます。しかし採用が構造的に難しい以上、まず取り組むべきは後者、すなわち「いまいる人員を配置最適化で無駄なく回す」ことです。本記事では、警察庁の公的統計をもとに高齢化の実態を整理し、母数を増やさずに供給を増やす現実的な対策を解説します。

警備員の人手不足の現状(結論+公的統計の早見表)

警備業界の人手不足は、感覚論ではなく公的統計で裏づけられた構造的課題です。まずは結論と数字を早見表で確認します。

論点実態
警備業者数約1万社(警察庁「警備業の概況」)
警備員数約58万人(同上)
60歳以上の比率約47%(同上)
不足の正体母数の減少と稼働のムダの二重問題

※数値は警察庁「警備業の概況」に基づく概数です。最新の数値・公表年次は同資料で必ずご確認ください。

結論:人手不足は『母数の減少』と『稼働のムダ』の二重問題

警備員の人手不足は、単純な「人が足りない」という一面では捉えきれません。実態は二つの問題の重なりです。一つは、高齢化と若手流入の細りによる「働ける人の母数の減少」。もう一つは、Excelやホワイトボードでの配置管理に起因する「在籍している警備員の稼働の取りこぼし」です。後者は採用ゼロでも改善できる領域であり、ここを放置したまま採用だけ強化しても、穴の空いたバケツに水を注ぐ状態が続きます。供給を増やす近道は、まず手元の稼働を回しきることです。

数字で見る警備員の高齢化(60歳以上約47%・平均年齢)

警察庁「警備業の概況」によれば、警備員数は約58万人、警備業者は約1万社規模です。年齢構成では60歳以上が約47%を占め、業界全体が高齢層に大きく依存していることがわかります。これは「人が辞めれば即補充できる」状態ではなく、退職リスクと隣り合わせの供給構造であることを意味します。若年層の比率が低い以上、母数の自然増は当面期待しにくいのが現実です。最新値・公表年次は警察庁の公表資料でご確認ください。

警備員の高齢化と人手不足を公的統計で整理した早見データマップ
警備員の高齢化と人手不足を公的統計で整理した早見データマップ

なぜ人手不足と高齢化が進むのか(構造的な原因)

「若手を採れ」で終わる一般論では、なぜ採れないのかが説明できません。人手不足の背景には、給与原資・労働環境・管制業務という三つの構造的な原因が絡み合っています。

単価は上がるのに給与を上げづらい構造的ジレンマ

警備の受注単価が上がっても、警備員の給与がそれに比例して上がるとは限りません。理由は給与原資の構造にあります。受注単価から、社会保険料・教育費・資格検定の取得費用・管制や事務の間接コストを差し引いた残りが、現場警備員の給与原資になります。間接コストが膨らむほど、単価上昇分は給与に回りにくくなります。つまり「単価が上がっても警備員が増えない」のは、上がった分が原資として現場まで届いていないからです。間接コストの圧縮こそが、給与改善と人員確保の隠れた前提条件になります。

受注単価から間接コストを差し引いた給与原資の構造を示したフロー図
受注単価から間接コストを差し引いた給与原資の構造を示したフロー図

若年層が集まりにくい労働集約・夜勤の労働環境

警備業務は労働集約型で、夜勤・早朝・長時間立哨を伴う現場が少なくありません。こうした働き方は若年層にとって選択肢の優先度が下がりやすく、他産業との人材獲得競争で不利になりがちです。さらに、入職後も配置の急な変更や連絡の煩雑さが続くと、定着前に離職するケースが生まれます。労働環境そのものを変えるのは難しいものの、連絡・配置のストレスはシステムで軽減できます。「変えられる部分」から手をつけることが、若年層の定着改善の現実的な入口です。

管制の属人化が採用・定着の余力を奪う悪循環

人手不足を加速させる見落とされがちな要因が、管制業務の属人化です。配置が特定のベテラン管制員の頭の中だけで回っていると、その人は日々の調整に忙殺され、採用面談や新人教育に時間を割けません。結果として新人が育たず、ベテランへの依存がさらに強まる悪循環に陥ります。採用や育成は「余力」がなければ進められません。管制の属人化を解き、調整工数を削減することは、人を増やすための時間を生み出す投資でもあります。

管制の属人化が採用・定着の余力を奪う悪循環を示した循環図
管制の属人化が採用・定着の余力を奪う悪循環を示した循環図

採用に頼らず稼働を最大化する対策

採用が構造的に難しい前提に立てば、打ち手は「いまいる人員の稼働を無駄なく回す」方向に絞られます。ここでは、母数を増やさずに供給を増やす三つの対策を整理します。

配置の見える化で『眠っている稼働』を掘り起こす

Excelやホワイトボードでの二重管理では、誰がいつ空いているかが一覧化されず、本来稼働できる時間が「眠ったまま」になりがちです。配置をシステムで見える化すると、空き枠と稼働可能な隊員がカレンダー上で一目で把握できます。これにより、外部応援に頼る前に自社内で埋められる現場が増え、実質的な供給力が上がります。警備HUBでは配置割当をカレンダー上のドラッグ操作で行え、現場と隊員の対応状況を一望できます。眠っている稼働の掘り起こしは、採用なしで供給を増やす最短ルートです。

配置を見える化して空き稼働を掘り起こすカレンダー型配置画面のイメージ
配置を見える化して空き稼働を掘り起こすカレンダー型配置画面のイメージ

上下番のスマホ化で管制工数を採用・育成に振り向ける

朝夕の上下番(上番・下番)を電話で受けていると、管制が電話対応に追われ、他の業務が止まります。上下番をスマホアプリ化すれば、隊員が現場から上番・下番を報告し、GPSによる位置記録(到着証跡)とともに管制ダッシュボードへ即時反映されます。これにより電話ラッシュが構造的に減り、管制は確認と例外対応に集中できます。空いた工数を採用面談や新人教育へ振り向けられれば、人を増やす余力が生まれます。上下番をスマホで受け付ける仕組みは、管制工数を未来の人員確保に回すための要です。

資格・検定の有効期限管理で配置できる人員を増やす

「配置できる人がいない」状況の一部は、資格・検定の有効期限切れで実質的に配置不可になっているケースです。検定資格者の配置義務がある現場では、期限が切れた隊員を割り当てられません。警備HUBでは、隊員ごとの資格・検定の保有状況と有効期限を見える化でき、配置前に人が確認できます。期限切れを早期に把握して更新を計画的に進めれば、配置可能な人員のプールを実質的に増やせます。資格・検定の有効期限の見える化は、母数を増やさずに「配置できる人」を増やす地味で確実な一手です。

配置最適化で『増やさずに回す』という考え方

人手不足対策の本質は、採用で母数を積み増すことだけではありません。配置最適化によって「増やさずに回す」発想が、中小警備会社にとって現実的な解です。

ダブルブッキング自動検知で配置漏れの取りこぼしを防ぐ

手作業の配置では、同じ隊員を別現場へ二重に割り当てるダブルブッキングが起きます。これは当日の人員不足を招き、結果として「人が足りない」という不足感を増幅させます。警備HUBは配置時にダブルブッキングを自動検知し、重複を組む前に気づける仕組みを備えています。配置ミスの取りこぼしを防げば、せっかくの稼働を無駄にせずに済みます。ダブルブッキングを仕組みで防ぐことは、稼働効率を底上げする基本対策です。

警備HUBが目指す『少人数でも回る』管制の形

警備HUBが目指すのは、限られた管制人員でも現場が回る業務の形です。配置の見える化、上下番のスマホ化、資格期限の見える化、ダブルブッキング自動検知を一気通貫でつなぐことで、調整工数を圧縮し、稼働を取りこぼさない運用に近づけます。人手不足は採用だけで解決する課題ではなく、業務構造の見直しで「増やさずに回す」余地が残されています。自社の管制体制を見直したい方は、人手不足や属人化の経営課題もあわせてご確認ください。

増やさずに回す管制の形を4つの施策の組み合わせとして示した放射状の図
増やさずに回す管制の形を4つの施策の組み合わせとして示した放射状の図

よくある質問

Q. 人手不足は外国人雇用で解決しますか?

外国人材の活用を解決策の一つとして見る見方もありますが、それだけで人手不足が解消すると断定はできません。警備業務は日本語での連絡・報告や法令理解が求められる場面が多く、教育・定着の体制づくりが前提になります。採用施策と並行して、いま在籍している警備員の稼働を配置最適化で無駄なく回す取り組みを進めることが、規模を問わず現実的です。供給側を増やす施策と、手元の稼働を回しきる施策は、どちらか一方ではなく両輪で考えることをおすすめします。

Q. 小規模警備会社でも稼働最大化に取り組めますか?

取り組めます。むしろ人員に余裕がない小規模ほど、稼働の取りこぼしが経営に直結するため効果が出やすい領域です。配置の見える化やダブルブッキングの自動検知、上下番のスマホ化は、隊員数の規模にかかわらず導入できます。警備HUBは月額2,980円/名〜(税込・6名以上)、1〜5名は4,980円/名(税込)、初期費用30,000円で、現場隊員の報告・閲覧専用アカウントは無料です。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要・いつでも解約可)から小さく試せます。

Q. 高齢の警備員が多い場合の現実的な対策は?

高齢層に依存している場合は、退職リスクと隣り合わせである前提に立ち、配置と業務負荷を見える化することが第一歩です。誰がどの現場にどれだけ入っているかを把握すれば、特定の人への偏りを避け、無理のない範囲で稼働を平準化できます。あわせて資格・検定の有効期限を見える化しておけば、更新切れによる「配置できない」事態を未然に防げます。採用で母数を増やしにくい状況だからこそ、いまいる人員を計画的に回す仕組みづくりが、現実的で再現性のある対策になります。

まとめ

警備員の人手不足は、高齢化による母数の減少と、配置のムダによる稼働の取りこぼしという二重の問題です。60歳以上が約47%という公的統計が示すとおり、採用だけで母数を積み増すのは構造的に難しいのが現実です。だからこそ、まず取り組むべきは「いまいる人員を配置最適化で無駄なく回す」こと。配置の見える化、上下番のスマホ化、資格期限の見える化、ダブルブッキング自動検知を組み合わせれば、増やさずに回す運用に近づけます。供給を増やすより先に、手元の稼働を回しきる視点が、中小警備会社の現実的な突破口になります。


監修:依田 尚人(警備HUB 開発責任者)。警備実務の専門家への取材・助言を経て警備HUBを開発し、その業務知見をもとに本記事を確認しています。

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